エジプト,ギザの大ピラミッド貸切による瞑想&チャネリング

2013年12月2日

二十一年前の今日一九九二年十二月二日は、私が初めてエジプト、ギザにあるクフ王の大ピラミッド(グレート・ピラミッド)を訪れた日。この日クフ王の大ピラミッドは私の参加していた日本人ツアーグループのために貸し切りになっていて、中に入ったのは観光客の入場時間が終わる午後四時半を過ぎた後、日没後の空には上弦の月が輝き始めていた。当時私の参加したツアーは通常の観光ツアーではなく大ピラミッド内ではアメリカの著名なサイキック・チャネラー、ケビン・ライアーソン氏のチャネリングによる誘導瞑想と再生復活の儀式が行われた。彼はハリウッド女優シャーリー・マクレーンさんのベストセラー本アウト・オン・ア・リムとその映画にも登場している。参加メンバーは三十名ほど、ケビン・ライアーソン氏は、大ピラミッドに入る前にピラミッド本来の入り口のある場所の大きな岩のブロックが三角形に組まれたエリアを指さし、「あの形をよく目に焼き付けておくように・・・」とコメントした。大ピラミッドは地下の間から訪れるのが本来の順番だそうだが、この夜は時間が限られているとのことで王妃の間(女王の間)から入っていくことになった。当時の大ピラミッドは特別な貸切申請を行わなくても通常の観光用の入場券だけで地下の間や王妃の間を訪れることができ、この時はそれらの部屋に通じる通路の鍵を開ける必要もなく入っていくことができた。 
メンバーの全員が王妃の間に入ると、ケビン・ライヤーソン氏はすぐにチャネリングに入った。そしてトランス状態になった彼によく入ってくる存在の一人、古代エジプトのイクナトン王の時代を生きたという賢者アトゥン・レイのスピリットがやってきた。アトゥン・レイの指示で、全員で輪になるように座ってしばらく瞑想に入り、その後彼は大ピラミッドに関する秘教的な情報を語ってくれた。アトゥン・レイによれば大ピラミッド内の王妃の間は人体にある七つのチャクラのうちハート・チャクラに相当する場所なのだそうだ。彼によれば人体におけるハート・チャクラはマスター・チャクラとも呼ばれ、すべての創造の根源にまで遡ることのできるまだ分解されていないただひとつのエネルギー波につながっているとても重要性のあるチャクラなのだそうだ。アトゥン・レイはまた大ピラミッドの王の間にある空の石棺が再誕生のシンボルであり、この石棺に横たわることで人は霊的に新たな誕生を迎えることができるのだと語っていた。そしてアトゥン・レイは王の間の石棺の内側(南側の端)に水晶を置くと大ピラミッドの頂上に水晶のキャップストーンが置かれている状態で得られるのとまったく同じエネルギーを生み出すことができるのだとも語っていた。王妃の間での瞑想とチャネリングで一時間ほどを過ごしてから全員で王の間へ向かった。 
柔らかい石灰岩でできた王妃の間やピラミッドの他の部分とは違い王の間は花崗岩の巨石で造られていて、水晶を多く含んでいるこの花崗岩はエネルギーを蓄積し増幅する作用もあるそうだ。メンバー全員が王の間に入るとアトゥン・レイは石棺の前に全員を集めて解説を始めた。その際、石棺の北側の縁に立っていたメンバーの一人に向かって次のように注意した。「そこは危険なので近づかないでください、昔そこに立っていた神官が消えてしまったことがあります。その後まだ見つかっていません。石棺のすぐ北の部分は王の間の黄金比のスパイラルの中心点にあたっているため、あまりにもエネルギーが高すぎるのです。」 
王の間では最初に全員でトーニングが行われた。その後、アトゥン・レイによる宇宙の四要素(地・水・火・気)の統合を象徴するという呪文が唱えられた。そして再びトーニングを行うように指示があり全員のトーニングの声が響き渡る中、アトゥン・レイの指示でメンバー全員が順番に石棺に入っていった。石棺には頭を北にして仰向けで横たわるように指示があり、その足元にあたる南側の端には大きな水晶の結晶がアトゥン・レイによって置かれた。 
最初に女性メンバーから石棺に入っていった。そしてメンバーが石棺に横たわっている間アトゥン・レイはアンクの形をした木彫を使って、石棺内に仰向けになったメンバーの体にそれを翳していった。翌日聞いた話では、この夜石棺に横たわっている最中に霊体が肉体から抜け出し大ピラミッド頂上の景色を見てきてしまった人もいたそうだ。王の間の石棺内で起こる神秘体験では自然に霊体が体から抜け出したり、前世の記憶が甦ってきたりといった経験をする人が多いそうだが、私自身の場合には石棺から出た後に後者のそれらしき出来事が起こった。全員が石棺に入り終わった後、王の間の花崗岩の床に座った状態での最後の瞑想が行われた時、頭に白い布をターバンのように巻き白い長衣を着て蓮華座に足を組んで瞑想に入っているエジプト人男性のビジョンが見え、瞬間的にその人物が古代エジプトの時代を生きた私自身の前世の姿であるように感じられとても懐かしい気持ちになってしまったのだ。大ピラミッドを出て、宿泊先のメナハウス・オベロイ・ホテルに戻ったのは午後十時前だった。 
その後多くの月日が流れていき二〇一〇年までの十八年間にエジプトは三十回以上訪れることになった。そして生まれて初めて大ピラミッドに入った日からちょうど二十年目にあたる二〇一二年十二月二日は富士山に近い伊豆の実家で過ごしていた。そしてこの時期の国際ニュースではエジプト国内の治安の悪化が取り上げられることが多く、その時点では二〇一二年の年末をエジプトで過ごすという可能性は少ないだろうと考えていた。そしてその夜は私の部屋にある一辺が二三〇センチの瞑想用ピラミッドの中に座り、ピラミッドの中の南側の隅には大きな水晶の結晶を置き二十年前の王の間での出来事を思い出しながらしばらく瞑想に入った。その後は水晶ピラミッドと以前にエジプトで買った木彫りのアンクを胸の上に置き北向きで仰向けに横たわった。そして時々眠気でウトウトしながらしばらくの時間が過ぎた頃、私自身の胸の中心が左右に割れ体内から透明な紐状の寒天のようなものが宙に向かってスルスルと流れ出ていくビジョンを見た。そしてこのビジョンを見た翌日辺りから、私のハートと大ピラミッド王の間の空間とがつながった状態になり、日本に居ながら同時にエジプトの王の間の空間にも私自身の霊体が存在してしまっているという不思議な感覚が起こってきた。そんなこともあって結局エジプト行を決断することになり、世界中の多くの人々が注目していた二〇一二年十二月二一日の冬至の日が訪れる二日前には再びエジプト、ギザの地に立っていることになった。 
地球から見た太陽と銀河の中心が最も直列に近づく銀河の整列が起こるとされた二十一日の冬至の前後の数日間は、クフ王の大ピラミッドのすぐ前に建つメナハウス・オベロイ・ホテルで過ごしたのだが、このホテルのオベロイ・グループによる経営はこの年の年末で終わることになっていたそうで、この時期はオベロイの名称のついた名前でのメナハウス・ホテルに泊まる最後の機会にもなった。 
そして私のこの時期のエジプト滞在は翌月の二〇一三年一月中旬までの一ヶ月近い滞在で、残りの多くの時間は、日本のガイドブックには載っていないギザの大スフィンクスに最も近い宿のスフィンクス・ゲストハウスで過ごしていたのだが、ケンタッキーとピザハットの入ったビルと同じ並びにあるスフィンクス・ゲストハウスは、大ピラミッドに最も近いメナハウス・ホテルと同様にとてつもない程のパワフルなエネルギーに包まれていて、以前は宿代も安くキッチンも自由に使えるのでティールタ(聖地、巡礼地)のエネルギーを活用した瞑想目的での長期滞在には最高のスポットのひとつだったけれども、最近はホテル代の定価がかなり高めに設定されてしまっている。しかしながら、エジプトでは多くのものが現地価格とツーリスト価格の二重価格になっていて、またこのホテルは一人のオーナーで管理されているので、リピーターや長期での予約などの場合には彼自身と直接交渉をすることでかなりの割引をしてもらえることもある。そしてスフィンクス・ゲストハウスのオーナー、ゴーダ・ファイド氏は彼がまだ若い頃、一九八二年にハリウッド女優のシャーリー・マクレーンさんがエジプト考古学者のマーク・レーナー氏と共にスフィンクス・ゲストハウスを訪れた際、彼女が瞑想のための大ピラミッド内での一夜を過ごすための手続きでシャーリー・マクレーンさんのガイドを務めたことがあるそうだ。当時のシャーリー・マクレーンさんはメナハウス・ホテルのスイートルームとスフィンクス・ゲストハウスの最上階のルーフにある客室の両方を確保して、その両方の部屋を行き来していたらしい。そしてスフィンクス・ゲストハウスの入ったビルの一階には土産物店トゥリー・オブ・ライフがあり、この店の壁にはシャーリー・マクレーンさんがスフィンクス・ゲストハウスを訪れた際に撮られた写真の他にピラミッド関連の様々な著名人たちと並んで撮られたオーナーの写真なども飾られています。

*2013年12月-2014年2月撮影の関連ビデオは後日公開予定
公開日 2013年12月2日 月曜日

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