ババジ・ナガラジの導きで南インド,ティルヴァンナマライを訪れる

2014年5月30日

二十一年前の一九九三年、その前年にエジプト、ギザのクフ王の大ピラミッド内を訪れたことをきっかけに霊的な能力が開花し始めてしまったという知人女性を通じてババジ・ナガラジを描いた肖像画のコピーと、『あるヨギの自叙伝』という本に掲載されているババジ・ナガラジの挿絵を見せられたことがあり、またその知人がテレパシーを通じてババジからのメッセージを送ってくれたことがあった。はっきりとした記憶は残っていないけれども、当時の私がババジから伝えられたメッセージは、プラーナ(生気)を体内に取り込むことに関連して「ゆったりとした深い呼吸、腹式呼吸を心がけるように」といったことだけであったような気がする。そしてその時期から特に瞑想時には腹式呼吸を心がけるようになり、多くの月日が過ぎた今現在ではそれがほとんど自然なものとして身についてしまっている。しかしながらババジという人物については彼が千年以上も生き続けている聖者であるといった話などから、その当時の私には彼が実在の人物であるのかどうかは半信半疑のままであった。
それから四年後の一九九七年に広島の宮島を訪れた際、弥山の山頂で私の知っている翻訳の仕事をしている方と偶然会い、彼女がババジとクリヤー・ヨーガに関する本の翻訳をしていることを耳にした。そして翌年の一九九八年にはその本は出版されていたようなのだが、私が訪れた書店では見かけたことがなかったこともありこの本のことは私の記憶から消え去ってしまっていた。ところが、去年二〇一三年の秋に十六年ぶりに再び宮島を訪れ、弥山の山頂に登った際、一九九七年に会った翻訳者のことを思い出し、ババジとクリヤー・ヨーガに関する本のことが再び私の記憶の中に甦ってきてしまったのだった。それから間もなくその本『ババジと18人のシッダ』を読むことになり、ババジ・ナガラジについての多少の知識を得ることになった。この本によればババジは南インドのパランギペッタイの地に西暦二〇三年十一月三十日のカルティガイ・ディーパム祭が行われている最中に生まれ、生誕地のパランギペッタイはポンディシェリからそう遠くない距離にあり、私がいつも訪れているティルヴァンナマライからもそれほど遠くないエリアにあった。またババジは若い時期にスリランカ南部にある聖地カタラガマにおいて彼の師であるシッダ・ボーガナタルと出会い、その地で宇宙意識との融合を経験した後、南インドの聖地コートラッラム(クットララム)においてシッダ・アガスティアからヴァーシー・ヨーガム(Vasi Yogam)と呼ばれる呼吸法の伝授を受け、そして最終的に北インドのヒマラヤ山中にある聖地バドリナートにおいて不死を意味するとも言われる最終サマーディ、ソルバ・サマーディ(霊体・知性体・メンタル体・生気体・肉体のすべてのレベルにおいて神性の降臨が起こった状態らしい)に至っているそうだ。またこの本の中で紹介されているババジ以外のソルバ・サマーディに至ったとされる十八人のマハー・シッダ達のほとんどが南インドのタミルナードゥ地方でその最終サマーディに至っていたことも知ったのだった。そしてマハー・シッダ達にとってのこの世での死は、自身の肉体を消滅させることによってその人生の最後を迎えることが一般的なのだそうで、彼らはまた複数の場所に同時に出現したりすることもあるそうで、十八人のうち聖地ティルヴァンナマライでソルバ・サマーディに至ったとされるイダイ・カダルに関しては、彼がアルナーチャラ山の麓で人々と会っている時に、同じ時間にアルナーチャラの山頂でもまた他の人々と会っていたことがあるといった言い伝えなども残っているそうだ。
それから最近私は南インドにある五大元素、火・水・大地・空気(風)・アーカーシャ(虚空)を象徴するとされるシヴァ寺院のある聖地を訪れる巡礼の旅への関心も高まっていたところだった。そしてババジ・ナガラジの生誕地パランギペッタイは五大元素の地のひとつであるアーカーシャ(虚空)を象徴するチダムバラム(チダンバラム)からそう遠くない距離にあり、チダムバラムには私がとても関心を寄せている有名な踊るシヴァ神像のあるナタラージャ寺院があり、私はまだこの地を訪れたことがなかった。私はかなり早い時期から聖地ティルヴァンナマライのアルナーチャラ山の持つ圧倒的な磁力、エネルギー・フィールドにつかまってしまい、周辺の他の聖地にはほとんど関心がなくなり、五大元素の地は火の要素を象徴するティルヴァンナマライと、大地の要素を象徴し、達磨大師(ボーディダルマ)の生誕地としても知られるカンチープラム以外の三聖地はまだ訪れたことがなかった。そして最近の私のインド滞在は二〇一三年十二月九日から今年二月初旬までの二か月近い滞在期間があったので、旅行前には久しぶりにティルヴァンナマライ以外の聖地なども訪れてみようかとも考えていたのだ。
そして日本を発つ日の朝、成田空港へ向かうリムジンバスの中でババジ・ナガラジからのコンタクトが始まってしまったのだった。そしてこの時私はババジの意識を自身の眉間にあるサードアイ、第三の眼で感じ始めたのだが、彼のサードアイは青い光を放っていて同時に彼から送られてくるエネルギーによって私自身のサードアイが活性化されていくのが感じられた。ずっと以前にギザのピラミッド・エリアでサードアイを通じたテレパシーによるコンタクトを受けた経験はあるけれども、そういったことはめったに起こることではなく私にとってはほとんど使われていない機能であるので活性化されるような感覚が起こるのだろう。そしてこの時のババジからのコンタクトを通じて私にとってのババジ・ナガラジは架空の存在ではなく、実在の人物であることが確認できたのであった。そして不死に至った偉大な師の一人であるとも聞いていたマハー・アヴァター・ババジからのコンタクトが始まってしまったからには、もし今回のインド滞在中に彼の導きにより、彼の生誕地であるパランギペッタイの地などを訪れるような流れになった場合には臨機応変に対応することにしようと心に決め日本を旅立っていくことになった。その後ババジの意識は成田空港に到着した頃から一度感じられなくなり、次はシンガポール経由で南インドのチェンナイ空港に向かう飛行機の機内から再びテレパシーを通じて彼の意識が感じられ始めたのだった。そしてその際ババジは彼が暮らしているとも言われるヒマラヤ山脈のある北インドの方からではなく、南インドのどこかから私にコンタクトしてきていることがかなりはっきりと感じ取れたのだ。そして南インドのチェンナイ空港到着と共に彼の意識は再び感じられなくなっていった。
その後ティルヴァンナマライの最初の滞在先であったラマナ・アシュラムでの二日目の午後、街の大寺院アルナーチャレーシュワラ寺院を訪れた際、メインゲートをくぐってすぐ左側に位置しているムルガン寺院の前で、この日は巡礼者のインド人男性の一人が目を閉じて両足を組み、深い瞑想状態に入っている姿が目に留まった。そして彼の放つオーラの磁力に導かれるようにして自然にムルガン寺院のほうに足が進んでいってしまったのだ。そしてムルガン寺院の前に立ったとき、クリヤー・ヨーガの本にババジ・ナガラジはムルガン神の化身でありムルガン神を司っているシッダであるといったようなことが書かれていたことも思い出した。それで、すぐに寺院内の参拝を思いつき入り口で捧げ物の花輪を買って中に入り、寺院最奥部の本尊の前で花輪を捧げ物として渡し少年の神職に聖灰を額に塗ってもらった。ムルガン神は少年神としても知られているのでムルガン寺院では少年の神職がその職についていることが多いのだ。そして本尊のムルガン神を参拝の後、少し後ろに下がってしばらくの間本尊のほうを向いて瞑想の祈りを捧げていた。その際本尊の手前の空間にとても大きな黄金色のオーラを放ったエネルギーの塊が感じられたのだが、この時は私自身の思考が働き過ぎてしまっていたせいもあってかそれが何のエネルギーであるのかをはっきりとは理解することができなかった。
そしてその翌日の夜、宿泊先のベッドに寝ころんでいて眠りに落ちそうになった次の瞬間、前日のムルガン寺院で感じた黄金色のオーラを放ったエネルギーの塊がババジ・ナガラジのエネルギー体であったことが突然理解できたのだった。そして私がインドのチェンナイ空港に向かう飛行機の中で感じていたババジが南インドのどこかから私にコンタクトをとってきていると感じたその場所がアルナーチャレーシュワラ寺院の中にあるこのムルガン寺院であったことも同時に理解できてしまったのだった。そしてこの出来事から今回の私のインド旅行で訪れるべき目的地がティルヴァンナマライであることをババジ・ナガラジにはっきりと告げられたような気がしたのだ。そして結局この時期のインド滞在では二か月近いすべての時間を聖地ティルヴァンナマライのアルナーチャラ山での瞑想の日々として過ごすことになっていったのであった。

◇南インドにある五大元素を象徴するシヴァ寺院◇
火=ティルヴァンナマライ、シュリ・アルナーチャレーシュワラ寺院 (Sri Arunachaleswarar Temple)
水=ティルチラパッリ、シュリ・ジャンブケーシュワラ寺院 (Sri Jambukeswarar Temple)
大地=カンチープラム、シュリ・エーカンバラナータル寺院 (Sri Ekaambaranathar Temple)
空気(風)=カラハスティ、シュリ・カラハスティーシュワラ寺院 (Sri Kalahastheeswara Swami Temple)
アーカーシャ(虚空)=チダムバラム、シュリ・ナタラージャ寺院 (Sri Nataraja Temple)

ティルヴァンナーマライのギリプラダクシナ通り沿いで見かけたババジの肖像画 撮影2014.1.31
ティルヴァンナーマライのギリプラダクシナ通り沿いで見かけたババジの肖像画 撮影2014.1.31
公開日 2014年5月30日 金曜日- 2018年11月11日 日曜日[更新]

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