聖人メナスの奇跡の水,聖メナス大聖堂とアブ・メナ遺跡

2010年11月4日

現在アレクサンドリアを訪れていて、今は海沿いのソフィテル・セシル・ホテルに近いブラジリアン・コーヒーストアでカプチーノを飲みながらこの文章を打ち込んでいる。今回のエジプト訪問は病弱の母親をコプト教の聖地アブ・メナ(アブ・ミーナ)に連れてくることが最大の目的だったのだが、昨日ようやくその目的を果たすことができた。アブ・メナの地では遺跡周辺に泊まることも考えていたのだが近くにはホテルがないそうで結局アブ・メナからそう遠くないアレクサンドリアの街に泊まることになった。今日もう一日アレクサンドリアに泊まって、多くのコプト教徒たちが礼拝に来ると言われる明日の金曜日に再びアブ・メナの地を訪れ、その後カイロに戻る予定でいる。午前中にはアレクサンドリア国立博物館を訪れ、たくさんのドローイングを描いてきた。 私の母親がアブ・メナを訪れたいと言い出したのは去年、世界遺産アブ・メナをテーマにしたテレビ番組を見てからのこと。アブ・メナでは多くの奇跡が起こっているといった話も番組の中で紹介されていたせいか彼女は「私もアブ・メナに行って健康な体になって戻ってきたい」と話していた。聖人メナスは現地の人達にはアンバ・メーナともマリー・ミーナとも呼ばれているようだ。 
アブ・メナ修道院では、最初に聖人メナスを祀る大聖堂の裏手にあるコプト教の聖者らしき人物の棺が祀られている空間に入った。ここで私は聖メナスの波動を感じハートがヒーリングされ涙が溢れ出してきた。彼のエネルギーからは私自身の全身が細胞レベルでヒーリングされるような感覚もあった。同じ経験はエジプトへ出発する二日前のまだ日本にいた時にも起こっていて彼のエネルギーに触れて涙が溢れ出してきたのはこれが二度目のこと。そしてここでは彼の意識が一時的に棺に祀られた聖者らしき人物の亡骸へウォークインしてきているような印象だった。聖メナスのエネルギーからはアルクトゥールスや天使といった言葉が浮かんできた。彼はとても大きなエネルギー体で、もし聖メナスの意識を天使という言葉で表現するなら大天使と呼ぶべきなのだろうとも感じた。ヴィジョンとして浮かんできたのは真っ白な羽のある大きな天使のイメージで、輝くオレンジ色と黄金色の混ざったような色彩も感じとれた。アルクトゥールスのエネルギーについては、人が死んだ後地上で生きていた間に受けた苦痛を癒すために、多くの魂が肉体を離れて最初に訪れる領域であるといったような記述をずっと以前にメタフィジックスの本で読んだ記憶がある。 
アブ・メナの地は古くは遠くヨーロッパ方面からも多くの巡礼者が訪れ地中海地域最大の宗教都市であった時期もあるそうだ。修道院を訪れた後は、アブ・メナで最も神聖な場所とされる聖人メナスの墓のあるアブ・メナ遺跡に向かった。ところが遺跡を訪れてみると湧き出しているはずの奇跡の水は枯れてしまっていた。今回のエジプト訪問は聖人メナスの墓から湧き出している奇跡の水を日本へ持ち帰ることが私の母親にとって最大の目的のひとつだったのでその時点ではひどく落ち込んでしまっていた。遺跡の小さな教会の管理人の話では水位が下がって三ヶ月ほど前から枯れた状態になっているのだそうだ。他のエジプト人の巡礼者達もがっかりしている様子で以前に水が湧き出していた場所の少し湿った土を手で掘って持ち帰ったりしていた。ところが遺跡を去る直前になり枯れる前に汲み置きしておいた湧き水はないのかと管理人に聞いてみると、「水なら今でも湧いているから心配するな」と言われる。彼から遺跡の脇に細い井戸が掘ってあることを教えられ、そしてその細い井戸から念願の奇跡の水を汲み上げることができた。
この湧き水は殉教した聖人メナスの遺体がこの地に埋葬された後その墓の周辺から湧き出し始めたというのが最初の起源なのだそうで、その後この水に触れることで奇跡的な治癒が起きたという数多くの体験談が人々に広まりそのことがこの地を奇跡の聖地として広く世に知らしめるきっかけになっているのだそうだ。

エジプト,アブメナ遺跡 聖人メナスの聖遺物を祀る祭壇 2010.11.5撮影
エジプト,アブメナ遺跡 聖人メナスの聖遺物を祀る祭壇 2010.11.5撮影
公開日 2010年11月4日 木曜日

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